日経で読む
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「日経で読む、仕事術・組織術」日経新聞朝刊、夕刊のコラムから仕事、組織をキーワードに選んでご紹介
ja
2004-06-23T09:08:00+09:00
日経で読む、仕事術・組織術
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日経新聞朝刊、夕刊の記事から仕事、組織をキーワードに選んでご紹介します。
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お金をかけずにスキー振興する方法があります
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/20040618_.html
「[勝機つかむ戦略] 小賀坂スキー製作所(木製スキー板)――プロから高い評価」(2004/06/18, 日本経済新聞 長野) 「スキーヤーがこのまま減れば、長期的には業績が悪化する」と小賀坂社長は危機感を示す。同社は経験が豊富なスキーヤー向けが製品メニューの中心だったが、〇三年には初心者向け商品を初めて独自開発した。小賀坂社長は「スキー場やスキー学校、行政と協力し、スキー文化の振興に努めたい」と話している。全くお金をかけずに、スキー文化の振興に寄与する方法があるのだが、一つ聞いて欲しい。 学校の冬休みの呼称を「スキー休暇」に変える。 実際には少しだけ工夫が必要で、休暇期間を少しずつずらし、スキー休暇に来た子供達で混雑しないようにしたいが、それも出来る範囲で構わない。 この方策はフランスを始めとする欧州諸国が実際に行っていて、冬休みとは別に2月に2週間のスキー休暇がある。スキー休暇なのだから子供達はスキーに連れて行けとせがみ、スキー場は繁盛するし、スキー産業も潤う。(ついでに)素養のある子供の育成にも一役買う。 行政がお金をかけずに貢献できる良案だと思うのだが、長野県などで試行してはいかがか。 ところで、記事の小賀坂スキー製作所は木製スキー ヴェクター・グライド(Vector glide)で巻き返しを狙っている。 失礼だとは思うが、久々に売れそうな国産スキーが登場したという感じである。ヴェクター・グライドは「職人のこだわり」を前面に押し出しているようだが、むしろ評価したいのはデザインセンスの良さである。標準ラインナップの "OGASAKA" の大きなロゴをはずし、淡泊なマークに凝った表面デザインで主張している。 その昔、小賀坂と言えば UNITY であった。UNITY は体育会系スキーヤー御用達だったため、一般スキーヤーは履きにくかった。同じ競技用スキーでもロシニョール (Rossignol)やサロモン (SALOMON)など海外ブランド品ならば”なんちゃってデモ・モデル”が許されたのだが、国産スキーにはそんな不真面目さが許されない雰囲気があった。 おそらく、国産スポーツメーカーはどこも同じ勘違いをしていた。スポーツ産業の売り上げは”遊び”が生む。競技は遊びをふくらませるための核として、必須だし重要であるが、そこに収入を期待すると、ごく小さな産業にしかならない。ヴェクター・グライドには期待している。不真面目さを許容する製品に育って欲しい。...
他
YU
2004-06-23T09:08:00+09:00
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ブランド妄信と品質のブラックボックス化
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/20040618__1.html
「[眼光紙背] 品質のブラックボックス」(2004/06/18, 日経産業新聞)デジタル家電や情報機器の不具合の原因で、内蔵ソフトウエアの不良と並んで多いのが調達部品の品質の悪さ。「部品のそのまた部品や材料がいつの間にか変更されていることがある。それが不具合につながる場合が少なくない」と大手電機メーカーの品質管理担当者は嘆く。コラムでは「調達部品の仕様を十分にコントロールできない『品質のブラックボックス化』」が致命的な欠陥につながるとしている。短い記事なのだが、奥が深い。部品にも原材料があり、部品の部品もある。源流のほんの小さな仕様変更が最終製品の品質に蓄積されていくのだから、よほど気を遣わないとすぐに欠陥が表面化してしまう。 たとえば部品1つずつの品質が 99.99 % (フォーナイン)であったとしても、10個の蓄積で最終製品になるとしたら 0.99994 ≒ 0.999 = 99.9 % になり、桁が一つ落ちてしまうのだ。 ところで、このコラムを読んだとき、反対のことも考えた。 消費者から見た場合、最終製品にどんな部品や原材料が使われているかはわからないし、すべて知っている必要もない。消費者は製品ラベルに書かれた製造企業、販売企業の品質を信用して購入している。よい意味での「品質のブラックボックス化」である。 ”ブランド”などというのは「品質のブラックボックス化」の最たるもので、「あのブランドの製品ならなんでもよい」と鵜呑みにすることが出来る(そう思いたいだけかもしれないが)。 怖いのは逆も言えることだ。「あのブランドの製品は何も信用できない」となり、消滅していった企業や製品が近年増えている。ここ数カ月、崖っぷちにいる自動車会社も「品質のブラックボックス化」の重さを、ずっしりと感じているに違いない。...
眼光紙背
YU
2004-06-22T09:38:00+09:00
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超絶短詩?中句?やたら深淵で、なぜか滑稽な日経の文化面
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040613_.html
「[詩歌のこだま] 超絶短詩と中句の可能性」(2004/06/13, 日本経済新聞 朝刊)この詩は一つの語句を間投詞とそれ以外の言葉に分割するもの。間投詞には擬態語、擬音語も含む。たとえば、「赤裸々」を「背」と「きらら」に分け、「背 きらら」とすると出来上がる。背中のきらきらしているイメージはまさに赤裸々のすてきなイメージだ。日経にも文化面はあって、というか日経の文化面はある意味有名である。それは朝日や読売とは一線を画していて、ベクトルが違う平面を指しているように思う。 俳人、坪内稔典氏による「超絶短詩」の紹介である。のっけから、「赤裸々←→背 きらら」である。もう一つが「哲学者←→鉄が くしゃ」と来た。 続いて「中句」の例として「走ってきて止まれなくなっている少年」(螢川)があげられている。 失礼ながらふかわりょうの持ちネタかにしか聞こえない。「改札口で叱られてるの、お前の父さんじゃない?」が中句であっても、ぜんぜん違和感がなさそうである。 日経はビジネスに役に立つ。それはあたりまえだが、隅々まで読むと、やたら深淵で、なぜか滑稽な不思議な世界が罠を仕掛けている。 記事に出てきた本: 言霊ほぐし(篠原資明、五柳書院) 宗左近詩集(宗左近、芸林書房) 日本の美 その夢と祈り(宗左近、日本経済新聞社) ~~~ 考えてみました、超絶短詩: 胃の上 和歌 考えてみました、中句: 必ず独り言を言う 階段踏み外した人...
Books
YU
2004-06-21T11:45:00+09:00
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ブログの読み過ぎはひらめきを阻害する?
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/20040613_.html
「[読書] ひらめきはどこから来るのか、情報の飽食が発想を阻害――吉永良正著(」2004/06/13, 日本経済新聞 朝刊)「情報糖尿病」という例え話も興味深い。人間の脳は大量の情報を一時に処理するのは苦手だが、少ない情報をため込んで活用するのは得意としている。しかし、現在は流通する情報・誤報があまりに多いため、脳が処理しきれずに、ひらめきが生まれるのを阻害してしまう。それこそ「情報の飽食時代」の合併症であるとの見方だ。一人の人間が取り入れられる情報量には限界があると常々思っている。近頃はインターネットからの情報収集が過ぎて、読書やテレビが減ってきた。 加えて、WEBサイトとブログからの情報収集はあまりに便利なため、短時間で大量の情報を閲覧することが出来る。かつては1日に100記事を読むなど考えたこともなかったが、今や1日に500記事を閲覧することも可能だ。 幸い「情報糖尿病」の症状は出てきていないが、糖尿病と同じく自覚症状が感じられないのかも知れない。 ひらめきを得るためには”考え抜く”ことが大事だと思う。散歩でひらめいたとか、夢で見たとかいう逸話に見られるのは、十分に考え抜いた末に、脳がフッと緊張状態から解放された状況なのではないか。 ブログにこうした駄文を書き連ねるのも楽しいが、ときどきは考え抜いた考察を衆評に仰ぐことも必要かもしれない。...
Books
YU
2004-06-18T10:00:00+09:00
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先輩・後輩から上司・部下へ、リーダーシップを補強する信頼関係
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040610_.html
「[経済教室] 働くということ、活力生む知恵(3)中央大学教授佐久間賢氏」(2004/06/10, 日本経済新聞 朝刊)さらに、優良企業で上司と部下の「高い信頼関係」がみられる背景には人間尊重(人への思いやり)を基礎にした制度のもとで人が安心して働ける職場環境がある。その典型的事例としてトヨタ生産システムがあげられる。その特長は「無理をしない」「ムダをださない」「ムラをなくす」の三点に要約される。「[経済教室] 働くということ、活力生む知恵」第三回の中央大学教授佐久間賢氏は上司、部下の信頼関係の修復を説き、そこに「『人間尊重』の経営政策」の重要性を見いだしている。 第二回の高橋氏、第三回の佐久間氏、および第四回のホリオカ氏、吉田氏に共通するのは人を育てるという観点である。近頃の人材論が”活用”に傾きすぎ、”育成”の視点を失っていることに警鐘を鳴らしている。 佐久間氏は上司、部下の信頼関係について日米の比較、優良企業とそうでない企業の比較を行っている。優良企業の方が信頼関係が高く、日本企業が何かとお手本にしたがる米国企業では上司、部下の信頼関係が低いことを示し、必ずしも米国型が優れているわけではないと説く。 「上司・先輩と付き合いたい」で書いたが、英語には「先輩」「後輩」にあたる言葉がないという。 かつて、日本型年功制では先輩がやがて上司になり、後輩が部下になった。上司、部下の信頼関係は一夜にして成り立つものではなく、先輩・後輩の職場生活で培われてきた。この「制度」は一見まどろっこしいが、仕事と多少の私生活を通じて、出来るやつ/出来ないやつ、信頼できる人/出来ない人、さらには状況に応じた個々人の振る舞い方まで知ることが出来る。 そうした一連の知識から、おのずと信頼関係の強弱ができあがっていた。 成果主義による突然の昇進や配置転換、外部の人材登用による見知らぬ上司や部下の出現は、ゆるやかに築かれてきた信頼関係を崩壊させてしまうのだ。 「上司は思いつきでものを言う」において橋本治氏はこんなことを書いている。というのは、あなたの書くその企画書には、「上司をバカにせず、しかも”上司はバカかもしれない”という可能性を考慮する」という、とんでもない条件が必要になるからです。それは、仏教で言うところの「慈悲の心」です。(p.164)橋本氏の言う上司とは日本型年功制による上司であるから、「慈悲の心」も持とうというものだが、信頼関係のない上司では「上司はバカかもしれない」どころか”上司はバカだ”と断言し、一切の信頼関係を拒否する職場環境が生まれうる。 信頼関係の欠如は意思の疎通を阻害し、やがて組織は崩壊し、事業は成り立たなくなる。そうなる前にまずは、先輩、後輩、同僚との信頼関係を築き直そうではないか。...
経済教室
YU
2004-06-17T09:15:00+09:00
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成果主義は充実した職業人生を破壊する
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/20040610_200406.html
「[経済教室] 働くということ、活力生む知恵(2)東京大学教授高橋伸夫氏」(2004/06/09, 日本経済新聞 朝刊)どちらも、最初は楽しいから「仕事」をしていたのだ。ところが金銭的報酬が投げ込まれると、それが仕事と満足の間に割り込んで「仕事→金→満足」と金のために仕事をするようになってしまう。だから金がなくなると、満足も得られなくなり、仕事をする気もまた失せるのだ。6/8から4日間に渡り「働くということ、活力生む知恵」と題した経済教室がリレー方式で執筆された。先月末まで一面連載だった同名記事の学術的補強という形である。第二回(東京大学教授高橋伸夫氏)と第三回(中央大学教授佐久間賢氏)をご紹介する。 第二回の東京大学教授高橋伸夫氏は成果主義には本質的欠陥があるとし、日本型年功序列を再活用するよう説いている。 年功序列とは言っても、同期の全員が同時に役員になるわけでもなく、そこには能力による差が大きく付く。おのずと付くべき差にことさら成果主義を取り入れようとするのは、体のいい賃金抑制であり、短期的な能力差の増幅でしかない。 高橋氏が説くのは金銭に代わるモチベーション、「仕事自体にやりがいや面白さを見いだせるようなシステム」である。青色発光ダイオードの特許係争の話題において、訴訟大国である米国でなぜ問題が起きない理由として「研究員にはやりがいのある研究テーマで報いるから」という見方がある。スター研究者でなくとも同じことは言える。そもそもサラリーマンであれば、始めから”莫大な富”を期待して就業しているはずもなく、大まかに言えば「充実した人生」を送ることに職業人としての意味を見いだしているはずだ。 給料とは仕事場以外で使うものなのだから、仕事を金銭のみで換算するということは、つまり、仕事場以外に価値を見いだせと奨励しているようなものだ。それでよしとされる職場とはよほどつらい環境か、つまらない作業だけである。世界市場で活躍する創造的な企業も含め、日本型年功制を捨て、こぞって成果主義を採用してしまった愚に早く気づいて欲しい。 「[経済教室] 働くということ、活力生む知恵」全四回のリスト 第一回(6/8):一橋大学教授 守島基博氏 第二回(6/9):東京大学教授 高橋伸夫氏 第三回(6/10):中央大学教授 佐久間賢氏 第四回(6/11):大阪大学教授 チャールズ・ユウジ・ホリオカ氏、大阪大学リサーチアシスタント 吉田恵子氏(経済教室)...
経済教室
YU
2004-06-16T09:08:00+09:00
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産業と社会の維持コストを見積もる
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/post.html
「[テクノウオッチャー] 環境税に現実味、焦る産業界」(2004/05/31, 日経産業新聞)議論を聞いた経産省幹部は「環境税の導入を避けたい産業界が、省エネルギーや新エネルギーといった温暖化ガス削減対策に本気になってくればしめたもの」と環境税導入の新たな反論材料ができるのを内心期待していた。先日読了した小島寛之著「確率的発想法」に自動車の保有コストに関する話がある。ここでいうコストとはガソリン代や保険料のことではなく、自動車1台につき、社会が支払っている代償のことである(社会的費用と呼ぶ)。 運輸省(当時)の算出は1台あたり7万円、自動車工業会は 6,622 円と算出。 これに対して、宇沢弘文氏は1台あたり年間 200 万円と桁違いの数字を発表した(「自動車の社会的費用」(岩波書店、1974 年)。 運輸省と自動車工業界の試算は、損失を金額に換算したもの(ホフマン方式)である。大気汚染、事故など社会が被った損失を金額に換算した。いわゆる「補償」、「遺失利益」の考え方である。 一方で、宇沢氏は社会が被った損失をすべて復旧させるためのコストを算出した。自動車の保有は社会に不可欠であるとの前提の元、それでもなおかつ自動車がなかったら澄んでいたであろう空気を取り戻すコスト、自動車がなかったら安全に歩けたであろう道路を作るため、歩道と車道を完全分離するコストなどを算出したのである。 どちらがより有意義な試算かは明らかであろう。 失われた生命、安全、きれいな空気をお金に換算して返してもらってもむなしい。それよりは将来、安全できれいな空気を吸い、なおかつ自動車を活用した快適な社会生活を送るために必要なコストを負担する方がどれだけ有意義か。 産業発展に伴う社会の損失について、これまでの産業界は「損失を被った被害者に金銭で解決」してきた。この方針では「全体としての社会」の目に見えない損害は無視される。実際に損害が出るまでは、一銭も払われることはない。負担すべき社会的費用について、常に宇沢方式の検討をするべきではないかと思う。...
他
YU
2004-06-15T09:16:00+09:00
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年金改革が「なんちゃって個人事業主」を増やす
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/post_2.html
「[年金を問う] 見切り改革(1)自衛策は正社員リストラ」(2004/06/02, 日本経済新聞 朝刊)プラスチック成型品の設計・開発会社アーク。入社三年までに技術者全員が退職する。個人事業主として業務契約を結び、同社から仕事を「受注」することで報酬を得る。独立した社員は厚生年金を脱退する。アークは1993年ごろから「社内独立制度」を取り入れていた。本来、年金負担の軽減だけが理由ではないが、ここに来て俄然注目されている。同様な精度は日本IBMも採用している。 これも一種の「起業」と言えるのかも知れない。十分に優秀なら、古巣以外からの受注も可能だから、「なんちゃって個人事業主」から本当の個人事業主に化ける可能性もある。 今はまだ特殊な形態でしかないが、一般の会社においても個人事業主になれる職種は多くある。経営に関わらず、技能だけを提供する職種ならば基本的に可能だ。 もしかすると、保険料収入を増やすために、厚生年金の保険料率をあげるという何の工夫もない政策が、ドリームゲートの起業支援政策よりも、劇的に日本の雇用形態を変えることになるのかも、とさえ思う。 参照:統計に影響を与える起業数...
他
YU
2004-06-14T09:47:00+09:00
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マイクロソフトに売るという最高の営業効率
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/post_1.html
「[新風シリコンバレー] 薄らぐ拝金主義――自社利益より『和を尊重』」(2004/06/02, 日本経済新聞 朝刊)インタートラストの技術を必要とする企業は多い。同CEOは「(巨額の賠償金も期待できる)訴訟ではなく、話し合いで解決したい」と語る。費用は問題ではない。「業界全体の発展が我々の目標。マイクロソフトなどのように自社利益しか考えない価値観とは違う」インタートラスト・テクノロジーズ(InterTrust Technologies) はDRM(デジタル著作権管理)技術の特許に関して、マイクロソフト社から4億4千万ドル(約480億円)の和解金を得ている。 現在、インタートラストは非常に小さな会社でほぼ特許管理だけを行っているが、数年前までは日本でも積極的に営業活動をしていた。三菱商事と組んだ技術紹介を(関連記事)聞いたこともある。当時名刺をいただいた幹部の方々は、会長以下いずれも退陣していて、様変わりに驚く。 当時、彼らの技術は「技術のための技術」でしかなくて、普及に耐えるだけの製品も環境もなかったから、紹介を受けた企業はみな同じ反応をしたと思う。いわく「普及したら採用します」である。これは当たり前で、DRMを高い費用を払って採用しても、自分たち一社だけでは市場が広まらない。”言い出しっぺ”だけが費用負担を強いられる構造には納得がいかないだろう。 結局、巨額の費用を負担して、”言い出しっぺ”になれるのはマイクロソフトのような”金持ち”企業だったわけで、我々はある意味、感謝しなければいけないのかも知れない。インタートラストにしてもマイクロソフトを「自社利益しか考えない価値観」などと皮肉るするのはお門違いだ。かつて、自社営業をしていたとき、技術供与に法外なライセンス料をふっかけていた。それが普及を阻む一因だったことは確かなのだから。...
他
YU
2004-06-11T09:13:00+09:00
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「最も危険なエンジニア」を開花させよ
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040526_.html
「[眼光紙背] もう一つの闘い」(2004/05/26, 日経産業新聞)「若い技術者の勇み足。大目に見てくれよ」――。ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発者逮捕で、こんな“本音”をのみ込んでいる研究者は多いはずだ。グヌーテラ開発者の一人、ジャスティン・フランケル氏の例を引き、ときに法律や企業の枠をはみ出てしまう、才気溢れる技術者をどう活かすべきかを語っている。 できれば全文引用したいくらいなので、ぜひもとの記事を読んで欲しい。...
眼光紙背
YU
2004-06-10T09:57:00+09:00
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プロにはプロを使え。メディア攻略の重要性
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040527_.html
「[春秋] 日本のいちばんの資産は何だろうか」(2004/05/27, 日本経済新聞 朝刊)首相の訪朝結果に落胆と不満を表明した拉致被害者の家族会へ、「ねぎらいの言葉がない」「首相批判は不快」などとするメールが大量に届いている。拉致被害者の帰還を、四半世紀も訴えてきた家族の心情に、思いは至らないのだろうか。権力の不手際には寛大で批判は許さないという、狭量で志の低いメールにすら、被害者家族は反応せざるを得ないのである。この反応は予期できた。テレビで流された家族会の発表を見たとき、これはまずいなぁと思った。なぜか。 テレビでは横田氏の否定的な言葉だけが繰り返し流された。曰く、「予想していた一番悪い結果」「裏切られた気持ち」。前後にはとりあえず帰還できた家族を祝い、首相を評価する言葉もあったのだが、テレビが欲しいのはそこではなかった。「予想していた一番悪い結果」は何度も何度も繰り返された。 これに乗じるように民主党が「大失態」などと、またもや言葉で遊ぶ。 これはまずい。 PR会社とは言わないが、誰かアドバイスするものはなかったのか。 一応、確実に生きていて、帰国意志のある人たちは帰ってきたのだ。国民はこの事実にほっとした。私も例外ではない。よかったと思った。この時点は大多数の正直な気持ちだったと思う。 もし、PR会社がついていたらどうしただろうか。 まず、想定される複数の結果について、あらかじめ発表原稿を起こしておくだろう。そのなかでは「予想していた一番悪い結果」などという言葉は使われまい。いまだ帰ってこない人のことに言及しつつ、随所に帰ってきた人たちを祝う気持ちをちりばめる。 これによって、どういう効果が得られるかというと、こういった感情を呼び起こすことが出来るのだ。 無事帰ってこられて、幸せな人もいるのに、まだ帰れない人がいるなんてかわいそう。なんとかしてあげたい。 PR会社なんてうさんくさい、って思うだろうが、テレビをはじめとするメディアはもっとうさんくさいのだ。攻めるも守るもプロを雇うのは当たり前のことだと思う。...
春秋
YU
2004-06-09T09:48:00+09:00
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農業は甘くないと思うが、選択肢が増えるのは歓迎
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040526__1.html
「[エコー] 関西雇用創出機構会長南部靖之氏――農業も職業選択肢に」(2004/05/26, 日本経済新聞 兵庫)「最近の若者は農業に向いている」と説く。入った会社をすぐに辞める社員やフリーターが増えているのは「やる気がないというより、組織や規則に縛られたくないとの意思表示」と積極的に評価する。「畑に出るのは天気次第、定時もないといった生活が性に合う人は多い」というわけだ。関西雇用創出機構会長の南部靖之の話である。「農業インターンプロジェクト」は希望する人に1,000平方メートルの畑を提供。給料制で好きな農作物を育てることができるという。 そう、確かに、農業は「一般的な職業選択肢」ではなかった。農業は土地がないとどうにもならない。農家の”手伝い”はできても、土地が手に入らない限り手伝い以上のことはできない。産業の凋落が伝えられて長いこと経つのに、いまだ会社化を許さないのは、どの利害関係への配慮なのだろうか。 引用した「畑に出るのは天気次第、定時もない」については異論もあると思う。おもしろく言うために誇張したのだろうが、気ままに仕事ができるわけではない。裏を返せばどんな天気でも畑に出なければいけないときもある。朝も早いし、曜日で決まる仕事ではない。 給料制も後々問題になるかも知れない。がんばった分だけ見返りがあることを期待する向きもあろう。...
他
YU
2004-06-08T09:59:00+09:00
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社長がマクロ要因を口にしたら、オー人事?
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040524_.html
「[経営の視点] 小売り復活「違い」から――消費不振、言い訳にならず」(2004/05/24, 日本経済新聞 朝刊)「わが国経済は」で始まり「残念ながら当社におきましてもこうした経済環境のもと依然、厳しい状況が続いております」で締めくくる。こんな言葉が社長の口から飛び出したらこの会社は要注意だ。ギクッとした方も多いと思う。社長でなくとも、月例、週例の報告会で使いがちの常套句だからだ。 木村剛氏の快書「戦略経営の発想法」の第1章冒頭に日産CEOカルロス・ゴーン氏の「ルネッサンス」を引用し、業績不振を外部環境に求める愚について諭している。あなたの会社、あなたの商品はそれほどマクロ経済に振り回されるようなものなのか、そんな”高尚”なもの売ってんですか?ということである。 経済成長が0%だ、マイナスだといっても、たかだか知れた数字なのだ。前年比1/2、1/3になったわけではない。そんなわずかなマクロ変動で、10%、20%も売り上げが落ち込んだりするのは明らかに経営に問題がある。 あなたの会社の社長がマクロ要因を口にしたら、黙ってゴーン氏の著書を突きつけてみるのも一手だろう。...
他
YU
2004-06-07T09:26:00+09:00
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シニア・マーケティングを活用しよう
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040518__2.html
「[シニアマネーをつかめ] 金融証券サービス競う(2)おまけ戦略、明と暗」(2004/05/18, 日経金融新聞)おばあちゃんの原宿、巣鴨。この街を拠点とする巣鴨信用金庫は「心からのもてなし」を目指す。毎月三回の巣鴨地蔵尊の縁日には本店三階を「おもてなし処」として開放し、お茶とお菓子を用意する。毎回二千人の高齢者でにぎわう。記事には失敗例が4つ、成功例が3つ載っている。難しいのは「いたわりつつ、年寄り扱いしない」という妙技を要求されるからだ。 4つの失敗例を読む限り、当たるサービスを考えるのは難しいかもしれないが、当たらないサービスを見抜くのはできるのではないかと感じる。巣鴨で調査するとか、身近な高齢者に聞くとか、基本的なマーケティング調査をしていないのではないか。 そう考えると、銀行など高齢経営者がいつまでも居座る「労害」などと言わないで、積極的に彼らに聞けばいいのである。ターゲットとなるシニア層にばっちり重なるOB達とその家族も千人単位でいるはずだ。さらに一歩進めれば、”昔取った杵柄”で相談係に起用するとか、シニア開拓部隊を創設するとか、いろいろな展開が目の前に広がって来るではないか。...
他
YU
2004-06-04T09:11:00+09:00
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エジソン式、ラングミュア式。発明と必要どちらが先か
http://www.idealbreak.jp/nikkei/2004/06/_20040518__1.html
「[Technoonline] 技術開発の歴史――『発明は必要の母』にも一理」(2004/05/18, 日経産業新聞)こんなことを念頭に置いてエジソンの伝記を読んでいたら、ニーズ志向のはずの蓄音機の発明が実はそうでなかったという記述を見つけた。 ベルに対抗して電話の改良発明に取り組んでいたエジソンが、たまたま送話器の振動板の動きを電信用のテープに凹凸として写し、そのテープの凹凸を針で振動板へ戻す実験をしていた。この時、耳にかすかに伝わる音が出た。 これにヒントを得て、蓄音機の原型ともいうべき「フォノグラフ」を考案した。だが、「音を貯蔵して何の役に立つのか」と、しばらくは玩具扱いにしたままだった。「世に出た発明には『エジソン式発明』と『ラングミュア式発明』があると唱えたのは西堀栄三郎氏だ」そうである。エジソン式は「必要は発明の母」、一方のラングミュア式は「発明は必要の母」である。 子供の頃、発明王エジソンの伝記を読んだという方は多いだろう。だが、大人になってから読む伝記もおもしろい。「偉人」の陰の部分を読み解くことが出来るからだ。 引用した部分「音を貯蔵して何の役に立つのか」は興味深い事実だ。今から見れば、「音を貯蔵」できればいろんなビジネスが広がると思えるが、あのエジソンでさえ最初は使い道が思い浮かばなかったという。ラジオや電話にも同じようなエピソードがあるが、大発明とは得てしてそういうものなのか。発明する人と使い道を考え出す人は別ということなのだろうか。 身近な例をあげると「ポストイット」が有名。3Mの研究所で”発明されてしまった”粘着力の弱い糊。それまで粘着力を強くすることに努力してきたのに、弱い糊とはなんだということだった。 いくつものこうした例を見てみると、昨今の発明報奨金問題には、用途開発報奨金も含めるべきなのではないかとさえ思える。...
他
YU
2004-06-03T10:06:00+09:00